要介護度3以上の方を扱う仕事のメリット

利用者が要介護度3以上の認定を受けると、生活の自立が困難とみなされ、食事や排泄のほか入浴や移動にも介助が必要だ。要介護度3以上の利用者を相手にする介護現場では、こうした身体介護が仕事のメインとなる。身体介護は、利用者の体を支えるため、相当な力仕事と言えるだろう。介護スタッフの肉体的負担が大きく、時には膝や腰を傷めることもある。背中を丸めて脇を広げ、腕だけに力を入れると、たちまち関節や靭帯を傷めてしまう。このような労働災害に遭わないために、スタッフは様々な工夫を凝らす必要に迫られる。現場では、内筋や体幹を活用して最小限の力で最大限の効果を生み出すコツを身につけられるのだ。

筋力が強くなくても、肘を脇腹にぴったりと付け、膝を曲げて背筋を伸ばした状態を保てば、少なくとも怪我を最小限に抑えることが可能である。介助技術は介護資格取得の時に学べるが、実践で生かすのは難しい。不自然な姿勢で介助しないよう注意していると、介助のコツがわかってくる。要介護度3以上の利用者を介助しているうちに、このようなスキルを自然に身につけられるメリットがあるのだ。現場で生かせる介助スキルは非常に貴重で、転職の際に有利になるほか、自分の家族の介護にも役に立つだろう。

また、歩行に補助を要する要介護度3以上の利用者は、たとえ認知症を併発していても、スタッフが気付かないうちに徘徊して行方不明になるリスクが小さい。見守りに神経を尖らせる必要がない点も、要介護3以上の高齢者が利用する施設で働くメリットと言えよう。